ニコニコしたり、興味のある物を真剣に見つめたりと、表情が豊かになり始める4ヵ月頃の赤ちゃん。シャッターチャンスが増えて、片時もカメラを手放せないというママ・パパも多いはず。そんなみなさんのために、わが子の写真がより魅力的になる撮り方を、フォトグラファーの今井美奈さんに教えていただきました!
今井美奈さん
1975年名古屋生まれ。広告写真家・市原克礼氏に師事。学生時代にバックパックでの旅の途中に出逢いその後交流を続けてきた老婦人の日常をとらえた写真でAPA AWARD 2007において経済産業大臣賞を受賞。これを機に拠点を東京へ移し、現在も旅と個人の作品制作を続けながらフリーランスで広告・ポートレート撮影を中心に活動中。
魅力的な写真の撮り方を覚えるうえで重要なことは、「撮った写真をすぐに消さないこと」だと思っています。最近は撮った写真をその場で確認できるので、目を閉じているものや泣く直前の顔は削除してしまう……という人も多いと思うのですが、最高の瞬間というのは、実は後から分かるものなんです。
思い出は何気ない日常にこそ宿るもの。笑顔の写真も素敵だけど、見返した時に思わずみんなで笑っちゃうような写真も魅力的ですよね。また、「この時お口をブーブーするのが流行っていたな」など、後から見返したときに“成長の記録”として貴重に思えてくる写真もあります。最高の瞬間を狙うのではなく、どの瞬間も最高だと思ってどんどん撮ることが最大のコツです!
どんな写真も、わが子が主役なら最高の一枚ではありますが、さらにワンランク上の写真を撮るコツは、「構図・アングル・光の3つを意識すること」です。
まずは、赤ちゃんを写真で“どう切り取るか”を決めることから始めましょう。この時、赤ちゃんを見るのではなく、カメラの画面全体に映る赤ちゃんを見るのがポイントです。画面を“1枚の絵”として捉え、赤ちゃんがもっと右のほうが良いかな?というように画面を見ながら実際のシーンを調整していくと完成度がグッと上がります。
迫力を出したい時、ダイレクトに赤ちゃんの可愛さを出したい時におすすめ。
全身が入るので、遊びなど動きがあるシーンにおすすめ。また、周りの環境を入れることで、後で写真を見返したときにシーンが蘇りやすい。
次に意識すべきは、どの角度から撮るかです。同じ構図でも撮る角度、いわゆるアングルによって写真の雰囲気は大きく変わるので、どんな写真にしたいかを考えてベストなアングルを見つけてみてください。
やさしく見下ろしているような、親目線の雰囲気にしたい時に。
子ども目線で臨場感が出る。青空や高い建物など、風景を入れた写真を撮りたいときにも最適。
最後は、プロが最も気を配る光について。構図やアングルは何となく意識している人も多いかもしれませんが、撮影という字は“影を撮る”と書くくらい、写真は光の取り入れ方が重要です。光の向きを意識することで、よりさまざまな赤ちゃんの表情を演出することができます。
赤ちゃんの正面から光が当たっている状態。表情がはっきりと分かり、明るい印象の写真になる。色が綺麗に出るので、カラフルな洋服の時などにもおすすめ。
赤ちゃんの背後に光が当たっている状態。シルエットが際立つので、動きに注目してほしい時や、うつぶせで顔が見えにくい時にも雰囲気があっておすすめ。また、まぶしくないので赤ちゃんの自然な表情を引き出せる利点も。
赤ちゃんの斜めから光が当たっている状態。光と影の差がはっきりとつくので、立体感が出る。日常をドラマチックに見せたいときにもおすすめ。
実は赤ちゃんの柔らかい雰囲気を出すのにぴったりなのは曇りの日の光。窓際で明るさを取り込むことで目がキラキラ輝いて見えるんです。晴れた日はレースのカーテンを引いて光を弱めて撮影するといいですよ。
4ヵ月頃の赤ちゃんは首が座り始めたばかりの子が多く、うつぶせになると首が疲れて顔が下がり気味になり写真がうまく撮れないことも。そんな時は白い布を敷き、レフ板代わりにすると顔が明るくなりますよ。
デジカメやスマホの台頭で、気軽にたくさんの撮影ができるようになった昨今。そんな現代だからこそ、「ぜひ挑戦してほしい写真がある」と今井さんは言います。
それは、テーマを絞って撮影すること。同じ時間、同じ場所といった括りで撮ることで、日々成長していく赤ちゃんの成長がよく分かり、成長記録としても楽しめると言います。
具体的には、はじめてできたことを撮る「はじめての○○」、毎日同じ時間に同じ場所で撮影する「定点撮影」、手や足などのパーツを写し続ける「一部分にフォーカス」、ぬいぐるみの横に寝た姿を撮り続けるような「物との対比」などがおすすめです。