産まれたばかりの赤ちゃんが泣き止まなかったり、なかなか眠らない場合、新米ママはきっと不安を募らせてしまうでしょう。それらの解消法や赤ちゃんの理想的な生活リズムについて、新生児訪問指導歴約25年以上のキャリアを持つ助産師・浅井貴子さんにアドバイスをお聞きしました。
浅井貴子さん
浅井貴子さん
All About「育児」ガイド。日本コンディショニング協会(NCA)トレーナー。新生児訪問指導歴約25年以上のキャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。ベビーマッサージや妊婦さん向けのセミナーの講師を多数務める。
生後1ヵ月検診までの赤ちゃんのことを新生児と呼びます。この時期は、おむつがキレイで、お腹が満たされている状態だと、連続して2〜3時間ほど眠ります。典型的な1日の生活リズムは、授乳→睡眠→ぐずる、授乳→睡眠→ぐずる、の繰り返し。つまり寝たり起きたりなんです。トータルの睡眠時間は1日に12~16時間ほどでしょうか。
ママは、自分が寝たい時に赤ちゃんが寝ないと「この子は寝ない子なのかしら」と思いがちですが、よくよく聞いてみたら、午前中にしっかり眠っていたりするんですよね。そんなとき、思い切って赤ちゃんと一緒に寝たり起きたりを繰り返すと、ママの睡眠不足も軽減すると思いますよ。
実は新生児の赤ちゃんの夜泣きについて、医学者は「夜泣き」とは言わず「昼夜逆転」という用語を使っています。なぜかというと、お腹の中にいる胎児は、大人と12時間リズムが違うからです。ママが寝ようとする夜は、赤ちゃんにとって朝だったわけです。ですから、産まれたばかりの新生児の赤ちゃんが夜に泣いてしまうのはしかたがないこと。心配しなくても大丈夫ですよ。
赤ちゃんは泣くために産まれてきたといっても過言ではありません。泣くのは“腹式呼吸のトレーニング”と捉えましょう。よく泣いた赤ちゃんは、身体の芯が丈夫になり、体幹がしっかり整います。すると、丈夫に育って風邪をひきにくい強い体になります。そう考えると、無理やり泣き止ませようとするのはもったいないと思いませんか?
赤ちゃんは、お腹の中にいる時は、肺が羊水で満たされているためしぼんでいます。産まれてきて、やっと肺で呼吸できるようになった状態なので、それを押さえつけるのはよくありません。私は、1日3回くらい“ギャン泣き”するくらいのほうがいいと考えています。
赤ちゃんは五感がとっても研ぎ澄まされているので、例えば汗をしっかり吸う良質なパジャマを着せてあげるだけですぐに寝たりします。また、適切な寝具も大切です。
光の効果も大きいもの。夜7時になったら、温かみのある色の間接照明に切り替えましょう。スマホやPCのブルーライトなども赤ちゃんにとっては刺激になるので、授乳中や添い寝中は使用を避けた方がいいですね。とにかく、昼夜のメリハリをしっかりつけることが大切です。