まだお子さまが小さい時期に仕事復帰をするママも多い今、母乳で育てる方々が持つ共通の悩みが「断乳」。果たしていつから、どうやって計画するのがいいのでしょう。母乳育児指導を行う助産師の浅井貴子さんに、復帰に合わせて計画的に断乳トレーニングを行う段取りや、断乳後の水分補給についてお聞きしました。
浅井貴子さん
浅井貴子さん
All About「育児」ガイド。日本コンディショニング協会(NCA)トレーナー。新生児訪問指導歴約25年以上のキャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。ベビーマッサージや妊婦さん向けのセミナーの講師を多数務める。
断乳と似たものに、卒乳という言葉があります。「断乳」はママの都合でやめること、「卒乳」は赤ちゃんからおっぱいを卒業することです。まずそれぞれのメリットとデメリットを説明します。
ママ自身が望むライフスタイルに戻していくことができます。仕事に復帰したら夜中のおっぱいタイムをなくしてしっかり寝たいというのも、断乳理由の1つです。また、授乳中に避けていた薬やお酒も飲むことができます。
すごく分泌のいい人は、搾乳しなければなりません。乳房が張って痛みが出るなど、乳房トラブルのリスクもあります。
赤ちゃんのペースでやめられるので、赤ちゃんが飲みたい分だけ与えてあげられます。
頻回授乳になるとママが疲れてしまうことですね。特に1歳を過ぎると、ママの疲労度がぐっとあがります。
●2本足で歩ける
●牛乳が飲める
●外で遊べるようになる
この3つの条件が揃っていたら、もう断乳していい頃だと思います。夜の授乳をやめるとよく食べるようになりますし、よく寝るケースが多いですね。そうやって赤ちゃんもだんだん慣れていきますよ。
母乳をやめることで栄養面の心配をされるママもいますが、大丈夫です。8ヵ月だったら、2回食から3回食に移行する時期ですし、フォローアップミルクにもタンパク質や脂肪分はきちんと含まれていますから、栄養不足になることはありません。
保育園に入れるかどうかが決まるのはだいたい1ヵ月前ですから、その頃から計画するのが現実的ですね。保育園で与えてもらえるのは、多くの場合ミルクのみです。まずはミルクと哺乳瓶(またはストロー)に慣らしていきましょう。混合栄養の子は、平日に全部ミルクの日を設けて慣らします。それほど問題なくできるはずです。
完全母乳で一度もミルクを飲ませてない場合は大変かもしれませんが、これにはコツがあります。まず、“ママはおっぱいの人”なので、ママがミルクを与えても飲みません。ですから、ママが外出している間に、他の人にミルクをあげてもらうのがいいでしょう。そうやって、ママがいない間にミルクを飲めるような練習をしていき、さらに食事の後はストロー付きのマグなどで麦茶や白湯を飲ませます。
おっぱいが出過ぎる人は、搾乳の仕方を覚えておきましょう。搾乳器を使っても構いません。母乳の分泌をコントロールするハーブティーなどもありますので、出過ぎて困る場合は、そういうものをうまく取り入れて。また保冷剤をあてて冷やすと止まりやすくなります。